黄疸とは?
黄疸とは、ビリルビンという黄色い色素が体内に増えることで、白目、歯ぐき、耳の内側、皮膚、尿などが黄色く見える状態を指します。
ビリルビンは、赤血球中のヘモグロビンが分解される過程で作られます。通常は肝臓で処理され、胆汁として胆嚢に蓄えられた後、胆管を通って腸へ排泄されます。
黄疸は病名ではなく、体の中で何らかの異常が起きていることを示す症状です。見た目で黄色く分かる頃には、血液中のビリルビンがかなり上昇していることもあります。そのため、黄疸に気づいた場合は原因を調べることが重要です
黄疸の原因
黄疸の原因は、大きく「肝前性黄疸」「肝性黄疸」「肝後性黄疸」に分けられます。
肝前性黄疸は、肝臓に届く前の段階で赤血球が大量に壊れることで起こります。免疫介在性溶血性貧血、感染症、血液寄生虫(バベシア症、また近年の人と動物の共通感染症であるSFTS:重症熱性血小板減少症も黄疸の症状が目安になりますので、注意してください。)、タマネギ中毒、アセトアミノフェン中毒、亜鉛中毒などが原因になります。
肝性黄疸は、肝臓そのものの障害によってビリルビンを処理できなくなることで起こります。肝炎、肝リピドーシス、肝硬変、肝臓腫瘍、感染症、薬物性肝障害、毒物、銅関連肝疾患などが原因になります。猫では肝リピドーシス、胆管炎、膵炎などが関係することがあります。
肝後性黄疸は、肝臓で処理された胆汁の通り道が詰まることで起こります。胆管閉塞、胆嚢粘液嚢腫、胆石、胆管炎、膵炎、腫瘍、リンパ節腫大、十二指腸異物などが原因になります。完全な胆道閉塞は緊急疾患です。
黄疸の症状

黄疸では、白目が黄色い、歯ぐきが黄色い、耳の内側や皮膚が黄色く見える、尿の色が濃い黄色からオレンジ色になるなどの変化がみられます。
同時に、元気消失、食欲不振、嘔吐、下痢、体重減少、発熱、腹痛、腹部膨満、貧血、ふらつき、黒色便、出血傾向などを伴うことがあります。肝性脳症を伴う場合は、ぼんやりする、ふらつく、よだれが増える、性格が変わる、痙攣発作などの神経症状が出ることもあります。
猫では、数日食べないことをきっかけに肝リピドーシスが進行し、黄疸が出ることがあります。黄疸が出ている猫は重症であることが多いため、早めの診察が必要です。
黄疸の診断/検査
黄疸は見た目で分かることもありますが、原因を特定するには検査が必要です。軽度の段階では見た目で分からず、血液化学検査でビリルビンの上昇として発見されることもあります。
検査では、全血球計算、血液化学検査、尿検査を基本に行います。全血球計算では貧血、赤血球の破壊、炎症、血小板減少などを確認します。血液化学検査では、ビリルビン、ALT、AST、ALP、GGT、コレステロール、アルブミン、血糖値、BUNなどを確認し、肝臓や胆道の状態を評価します。
尿検査ではビリルビン尿、蛋白尿、糖尿、腎臓への影響などを確認します。さらに、レントゲン検査や超音波検査で、肝臓、胆嚢、胆管、膵臓、脾臓、腹水、腫瘤の有無を調べます。
必要に応じて、凝固検査、感染症検査、胆汁酸検査、アンモニア測定、細胞診、胆汁培養、CT検査、肝生検、試験的開腹などを検討することがあります。
黄疸の治療
黄疸の治療は、原因となっている病気によって異なります。
溶血性貧血が原因の場合は、免疫抑制療法、輸血、感染症治療、中毒への対応などを行います。肝炎や肝リピドーシスなど肝臓の病気では、点滴、栄養管理、制吐薬、肝庇護薬、抗菌薬、ビタミン補給などを行います。
胆管閉塞、胆嚢粘液嚢腫、胆嚢破裂、胆石による閉塞、腫瘍、十二指腸異物などでは、外科的治療や胆汁の流れを回復させる処置が必要になることがあります。
黄疸は原因が多岐にわたり、軽症に見えても重篤な病気が隠れていることがあります。特に、食欲がない、嘔吐している、腹痛がある、ぐったりしている、出血がある場合は、入院治療が必要になることもあります。
黄疸の予防
黄疸のすべてを予防することはできませんが、原因となる病気を早期に見つけることが大切です。定期的な健康診断、血液検査、尿検査により、肝臓病、胆道疾患、貧血、感染症などの早期発見につながります。
タマネギ、タマネギ中毒、アセトアミノフェンを含む人用薬、キシリトール、毒性植物、亜鉛を含む金属、カビた食品などは、愛犬・愛猫が口にしないように管理してください。
フィラリア症予防、ノミ・マダニ予防、ワクチン接種も重要です。マダニが媒介する感染症や、犬猫の感染症の中には、黄疸を伴う重篤な病気があります。
黄疸の看護/その他
ご自宅では、白目、歯ぐき、耳の内側、尿の色、便の色、食欲、元気、嘔吐、下痢、腹痛の有無を観察してください。便が灰色や白っぽい場合は胆汁が腸に流れていない可能性があり、重要なサインです。
黄疸があるときは、自己判断でサプリメントや人用薬を与えないでください。肝臓に負担をかける薬や成分が含まれていることがあります。
特に猫で黄疸がみられる場合、胆管炎、肝リピドーシス、膵炎、感染症など重篤な病気が原因であることが多く、早期の治療が重要です。また、外に出る猫やマダニ予防が不十分な犬猫では、人と動物の共通感染症を含む感染症にも注意が必要です。
黄疸は、単なる色の変化ではなく、赤血球、肝臓、胆道のいずれかに重大な異常がある可能性を示すサインです。白目や歯ぐきが黄色い、尿が濃い、元気や食欲がない場合は、早めに動物病院へご相談ください。
pets
動物医療保険をお持ちの方は診察前に保険証を提示してください!
library_books
参考文献・資料等
- 小動物臨床における診断推論; 180-188
- The Yellow Cat: Diagnostic & Therapeutic Strategies
- Icterus in Dogs
-
Ettinger’s Textbook of Veterinary Internal Medicine 9th ed 第28章 黄疸
![]()
<1>3頭の猫に認められた肝吸虫(Platynosomum concinnum)感染から二次的に生じた重度の胆汁うっ滞性肝疾患
<2>猫の胆嚢炎および急性好中球性胆管炎: 6症例における臨床所見、細菌分離および治療反
<3>猫の肝リピドーシスは一般的な肝疾患である
<4>猫の肝リピドーシス
[WR2111,VQ2111:黄疸]
■VMN Live
・

