※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!
汎骨炎とは?
汎骨炎(はんこつえん)とは、特に中型〜大型の若い犬に見られる骨の炎症です。2歳齢未満の雄(オス)犬に多いと言われています。主に前肢(前足)に起こることが多い病気ですが、後肢(後足)でも起こることがあり、1本あるいは複数の足で同時に発生します。
汎骨炎の原因
原因はよくわかっていませんが、急激な発育、ストレス、感染、栄養性(高タンパク質食、カルシウム過剰)、代謝性、アレルギー性、内分泌性、自己免疫性などの病気によるものが疑われています。
ジャーマン・シェパード・ドックには特に多くみられることから、遺伝的な関連も疑われています。
汎骨炎の症状
痛みや跛行などの症状は数日から数週間続くことが多く、症状の見られる足が次々と移り変わっていくことが一つの特徴とされています。成犬になるとほとんど見られなくなります。
汎骨炎の診断/検査
通常、問診、視診、身体検査、触診などを行い、汎骨炎が疑われる場合レントゲン検査を行います。
汎骨炎の治療
症状が重篤な場合、炎症を抑え、痛みを軽減するために、消炎鎮痛剤の投与による治療を行います。
運動制限や安静は回復のために必ずしも必要ではありませんが、安静にすることで痛みを軽減することができる可能性はあります。
汎骨炎は基本的に成長と共にその症状が消えていく病気であることを知っておいてください。
汎骨炎の予防
原因がよく分かっていないため、予防をすることは難しいと思われますが、原因の一つとして栄養性も疑われているので、成長期の過剰なカルシウム摂取、高タンパク質食を避け、バランスの良い適切なドッグフードを与えるようにしましょう。
仔犬の成長期には汎骨炎以外にも骨や関節の疾患が起こりやすいものです。自己判断したり、中には放置することにより一生痛みや後遺症、高額な手術が必要になったりしますので、歩き方などがおかしいなと思ったらできるだけ早めに当院にご相談いただくか、獣医師の診察をうけましょう。
汎骨炎の看護/その他
動物病院でよく見るのは、家では足をかばっていたのに、病院に来るとまったく正常に歩いてしまうという現象です。動物は少しぐらいの痛みは隠してしまう傾向がありますので、できればお家での跛行の様子をスマートフォンの動画で撮影(可能ならスローモーション撮影)していただけると診断の助けになることがあります。
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参考文献・資料等
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<1>原因不明の跛行を呈する犬の骨シンチグラフィー
<2>発育に伴う整形外科疾患の犬種特異性
<3>成長期の整形外科的疾患による犬の跛行:汎骨炎、レッグ-カルベ-ペルテス病、および肥大性骨形成異常症