高血圧症:Hypertension

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高血圧症とは?

 犬猫での高血圧症(こうけつあつしょう)の発生率は様々な報告がありますが、犬では稀で、猫では比較的一般的に見られる病気であるとされています。全身性高血圧症(ぜんしんせいこうけつあつしょう)とも言われ、収縮期(俗に言う上)および(または)拡張期(俗に言う下)の血圧が基準値より高い場合に高血圧症とされます。

高血圧症の原因

 犬猫の高血圧症の原因は大きく分けると特発性高血圧(原因がよくわからない高血圧)と二次性高血圧(他の基礎疾患に続発して起こる高血圧)に分けることができ、特に二次性高血圧が多いとされています。犬猫では2割ほどが特発性高血圧で、約8割はなんらかの病気から続発する二次性高血圧だと言われます。
 犬では副腎皮質機能亢進症があると二次性高血圧症になりやすく、猫では甲状腺機能亢進症の猫の87%、慢性腎臓病の猫の19.4%が高血圧を患っていると報告されています。その他、稀ですが、原発性高アルドステロン症、クロム親和性細胞腫、下垂体性副腎皮質機能亢進症などに続発することがあります。
 特に9歳上の高齢犬猫で、基礎疾患を持っている場合は定期的な血圧測定が推奨されます。

高血圧症の症状

 高血圧による障害が特に起こりやすいのは、脳(発作、痙攣、失神など)、眼(眼振、出血、失明など)、心臓(雑音、不整脈など)、腎臓(蛋白尿など)の4か所だとされています。もちろん血圧が高くなることにより元気消失や食欲不振も見られます。
 稀ですが、大動脈解離が見られたという報告もあります。

高血圧症の診断/検査

 高血圧は血圧測定を行わなければ診断できないことは明らかです。しかし、動物の場合正確な血圧測定が動物の性格(不安や興奮)などで難し場合もあります。一般に犬猫の場合、収縮期の血圧(俗に言う上)が160mmHgより高い場合を高血圧症と言いますが、血圧は様々な要因により上下しますので、一度の測定では確定できません。何度か測定する必要がります。複数回の血圧測定で収縮期180mmHg以、あるいは拡張期(俗に言う下)120mmHg以上あるなら治療の必要があります。また、これより低くても二次性高血圧の原因になる病気や症状があれば治療が推奨されます。
 高血圧の場合、その他一般に、身体検査、聴診(高血圧の猫の6〜7割に雑音が認められるため)、血液検査血液化学検査尿検査、眼科検査、レントゲン検査、超音波検査などが行われますし、時にはCTやMRI検査が必要になることもあります。

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この記事を書いた人

福山達也