低血糖症:Hypoglycemia

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低血糖症とは?

 低血糖症(ていけっとうしょう)とは、血液中の血糖値(糖分濃度)が低下してしまうことにより起こる病気というか状態です。
 特に動物の脳は血液中の糖分をエネルギー源としているため、血糖値が著しく低下してしまうとその影響を受け、様々な症状を引き起こします。
 この低血糖は、生後3ヶ月頃までの子犬、子猫の時期に多く発生しますが、成犬になってからも他の病気の二次的な症状として発症することがあります。
 低体温(Hypothemia)、低血糖症(Hypoglycaemia)、脱水(deHydration)は、「3Hシンドローム」と呼ばれ、子犬、子猫における3大斃死要因であると言われていますので注意が必要です。

低血糖症の原因

 一般的に動物は、グリコーゲンをグルコースに変えて血糖値を維持しますが、生後間もない子犬や子猫が貯蓄できるグリコーゲンの量は、数時間の血糖値を維持するほどしかありません。 加えて、血糖値を維持するために必要な肝臓や膵臓の働きも充分ではないため、生後3ヶ月ぐらいまでは低血糖状態が起こることが多く、その原因として長時間ミルクや食餌をとれないことや、寒さによるストレス、寄生虫やウイルス性の腸疾患による嘔吐下痢、先天的な肝疾患(門脈体循環シャント)などがあります。
 成犬や成猫では数日間食餌を摂らなくてもある程度の時間は血糖値を維持できますが、子犬、子猫では血糖値の維持を食事からの糖分吸収にほとんど頼っているため、食餌ができないと血糖値の維持ができずに低血糖症が発症します。
 成犬、成猫での低血糖の原因としては、膵臓の腫瘍(インスリノーマ)やその他の腫瘍、副腎皮質機能低下症、腎臓病、感染症などの病気により二次的に低血糖を発症する場合や、妊娠・出産前後のストレスや栄養不良、大量授乳によって起こる場合があります。
 また、糖尿病でインスリン治療を行っている場合、インスリンの過剰投与による低血糖症が起こることもあります。さらに、遺伝性疾患やエチレングリコール中毒キシリトール中毒、キョウチクトウ中毒などの中毒でも起こります。

低血糖症の症状

 主な症状は、元気消失、食欲不振、ふらつき、震え、重症になると虚脱(ぐったりする)、食欲消失、全身性痙攣発作、昏睡などが起こり、最悪の場合死にい至ります

低血糖症の診断/検査

 診断は血液化学検査による血糖値(Glu)の低下(一般に60mg/dL未満)で確認します。もちろん低血糖の原因を探るため、血液検査尿検査レントゲン検査や超音波検査、CT検査なども必要になることがります。

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この記事を書いた人

福山達也