FLUTD:猫下部尿路疾患

※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!

FLUTD:猫下部尿路疾患とは?

 猫下部尿路疾患:FLUTD(猫泌尿器症候群:FUSと以前は言われていました)は、その名の通り、尿路の下部にあたる膀胱と尿道に関係する疾患の総称で、膀胱炎や尿道炎、膀胱や尿道の尿石症などが含まれます。猫では特に原因不明の特発性FLUTD(間質性膀胱炎、特発性膀胱炎)や不適切な食事による尿結晶や尿石の形成が多く見られます。
 症状が進むと、尿道が詰まって排尿が全くできず尿毒症となり短期間で死亡することもあり、注意が必要な病気です。
 FLUTDはどの年齢でも発症する可能性がありますが、通常、運動量が少ない猫、屋内トイレを使用する猫、屋外へのアクセスがほとんどまたはまったくない猫、ドライフードを与えられている猫、中年の太りすぎの猫で見られます。他にも精神的ストレスや環境ストレス、複数の猫がいる家庭、日常生活の急激な変化などの要因も、猫がFLUTDを発症するリスクを高める可能性があります。

FLUTD:猫下部尿路疾患の原因

 特発性膀胱炎(特に若い猫に多い)、細菌感染(特に中齢高齢に多い)、尿石(ストルバイト尿石、シュウ酸カルシウム尿石)、尿道栓子によって発症することがほとんどです。
 尿路閉塞は若い猫や去勢された雄猫でよくみられます。また、ストルバイトは7歳以下で、シュウ酸カルシウムは7歳以上で発生頻度が高い傾向があります。
 猫のカリシウイルス感染症は下部尿路疾患の原因になる可能性があるという報告があります<8>。また、糖尿病甲状腺機能亢進症などの病気は、猫の下部尿路疾患を引き起こす可能性があり、あまり一般的ではありませんが、尿路の腫瘍、先天性疾患、尿路や脊髄の損傷により起こることもあります。

FLUTD:猫下部尿路疾患の症状

血尿
血尿

猫下部尿路疾患になると、いきみ:頻繁にトイレに行くのに尿が出ない(排便と間違えないように)、少量の排尿、排尿時の痛みで鳴く、トイレ以外の場所で排尿する(不適切な排尿)、血尿、陰部を頻繁に舐めるなど、膀胱炎の症状が現れます。

 また、尿道結石や尿道栓子(炎症で尿路からはがれ落ちた細胞や白血球、赤血球、尿結晶、粘液などが固まってできた栓のこと)などにより尿道が閉塞し、排尿がほとんど、あるいはまったくできない状態(尿道閉塞)になると、急性腎不全を起こし、尿毒症を引き起こすことがあります。尿道閉塞は緊急処置を要する事態です。24~48時間以内に治療を行わなければ死亡する可能性が高くなります。すぐに当院にご連絡頂くか、獣医師の診察を受けてください。

FLUTD:猫下部尿路疾患の診断/検査

 問診、身体検査で状態を把握します。必要に応じて、レントゲン検査超音波検査などを行い、全身の状態を把握するために血液検査血液化学検査尿検査などが必要になります。特に嘔吐が見られる場合は必ず血液検査血液化学検査尿検査などを行い、腎臓の機能が障害を受けていないか、受けているとするとどの程度なのかを把握する必要があります。
 特発性膀胱炎の診断は除外診断です。つまり、同様の兆候を引き起こす可能性のあるすべての疾患が除外された後に行われる診断です。

▶FLUTD:猫下部尿路疾患の治療・予防・看護法などは次のページへ

この記事を書いた人

福山達也