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分離不安とは?
分離不安(ぶんりふあん)とは動物が愛着を感じている人(通常は1人または複数人の家族)から分離され、一人になると強い不安を感じ様々な問題行動を起こしてしまうことを言います。通常は家族が外出時し留守番をさせている時やそのことが予測されたときに症状が現れます。症状は、軽度なものから深刻なものまで様々です。
特に社会的で群れで社会生活をおくる犬にとって、飼い主からの分離に関して軽度の不安反応は良く見られる行動で、犬の約14%に分離不安やそれに似た行動が見られると報告されています。しかし、破壊的行動、無駄吠え、肢端皮膚炎など重度になった場合は病気として対処する必要があります。
分離不安は一般に犬に多くみられる問題で、早期離乳、室内飼育犬や保護犬、一人暮らしの飼主下での飼育などで起こる場合が多いとされています。犬の病気と思われがちな分離不安ですが、猫でも時々おこります。
分離不安の原因
犬は社会的な動物で群れでの生活を好み、孤独には弱い傾向があります。ですから、愛着対象である人(通常は1人または複数人の家族)から分離されると少なからずストレスを感じます。このストレスが強く出ることが分離不安の原因です。
一頭で飼育されている場合は、多頭飼育の場合より分離不安になりやすいといわれます。また、親兄弟姉妹から早期(生後2ヶ月以内)に引き離されたり、ペットオーナーの生活スタイルの変化で、留守番に慣れていない、接する時間が減ったり、引越しなどの環境変化、愛情過多、トラウマ、加齢など様々なことが分離不安の原因や危険因子になりえます。
分離不安の症状
留守番で一人になると強い不安を感じるため、落着きがなくなる、吠える、吠え続ける、室内のものを壊す、室内のひっかき行動、うろうろと歩き回る、物を噛んだり壊したりする、不適切な場所での排泄する、外出しようとすると噛んだり唸ったりする、足先を舐める(肢端舐性皮膚炎)などの行動が現れます。これらは留守番のときだけでなく、ペットオーナーが外出しょうと準備をはじめただけでも起こることがあります。
ストレスが限界を超えたときは、無気力、食欲不振、抑うつ、流涎(よだれが多くなる)、嘔吐、下痢、便秘、不適切な排尿などとしてあらわれることもあります。また、帰宅後、過度の後追い、激しい興奮などが見られることもあります。
分離不安の診断/検査
特別な検査はありません。一番は問診や身体検査です。問題行動が起こる場合の状況を詳しく聞いて、必要であれば同じような行動や症状が考えられる他の病気を様々な検査で否定します。
例えば不適切に排泄する場合、行動学的な問題なのか、泌尿器の問題なの消化器の問題なのかわからないことがあります。その場合、血液検査、血液化学検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査などを行いこれらを否定します。
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