口内炎(猫慢性口内炎)

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口内炎(猫慢性口内炎)とは?

 口の中の粘膜である舌や口の中の表面部分に炎症を起こす病気です。赤く腫れてただれが生じ、痛みも伴うことが多いため、食欲の低下などもみられます。口内炎とともに歯肉炎が併発している場合もい多くあり、慢性化したものは慢性歯肉口内(FCGS)とも言われます。

 特に猫の慢性口内炎は様々な呼び名があり、猫難治性口内炎、尾側口内炎、潰瘍性口内炎、猫リンパ球性形質細胞性歯肉炎/口内炎[LPGS]などとも呼ばれることが多く、原因は様々です。
 猫全体の0.7%(0.5〜1.0%程度)が発症すると報告されています<1>。また、ウエット・フードを食べている猫、。多頭飼育の猫に多いと報告されています。

口内炎(猫慢性口内炎)の原因

 猫の(慢性)口内炎の原因は、まだはっきりとは分かっていません。しかし、歯垢や歯石がたまることが原因のひとつと考えられています。また、猫カリシウィルス感染症猫免疫不全ウィルス(FIV)感染症猫白血病ウィルス(FeLV)感染症猫ウィルス性鼻気管炎(猫ヘルペスウィルス感染症)などの感染症や糖尿病腎臓病などの慢性疾患によって免疫力が低下し、口腔粘膜が細菌や真菌に感染することも原因のひとつと考えられています。このほか、ビタミンAの不足によっても口内炎になることがありますし、他にも食物アレルギーなど原因となる可能性のものが多数報告されていて、複合的に起こっている可能性があります。

口内炎(猫慢性口内炎)の症状

 口の中の粘膜が炎症を起こし、炎症を起こしている部分は出血しやすくなり、ただれて潰瘍になったりします。症状の進行とともにネコちゃんの口の痛みが強くなり、よだれを垂らしたり口臭も強くなっていきます。症状が重くなると強い痛みのため、口の周りや頬を触られるのを嫌がり、食事も積極的には摂らなくなったり、全く食べなくなってしまうこともあります。

口内炎(猫慢性口内炎)の診断/検査

 口内炎かどうかは視診で判断できますが、その程度や状態を知るために、レントゲン検査血液検査血液化学検査ウイルス検査(猫免疫不全ウィルス[FIV]、猫白血病ウィルス[FeLV]感染症)などが必要になることもあります。

 難治性の口内炎(特に猫リンパ球性形質細胞性歯肉炎/口内炎[LPGS])は、その症状の重症度からは以下の4つのグレードに分類します。[3]

グレード 状態

無症状

軽症

中程度
重症

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この記事を書いた人

福山達也