成長障害とは?
成長障害とは、子犬・子猫が本来期待される速度で成長しない、または年齢や犬種・猫種に比べて十分な体格まで成長しない状態を指します。
犬や猫は生後早期に急速に成長します。特に体高や骨の長さに関わる成長は、生後6〜9か月頃までに大きく進みますが、犬種によっては2歳頃まで続くこともあります。犬は犬種による体格差が非常に大きいため、小さいことが必ずしも病気とは限りません。親や同腹の兄弟姉妹と比べて明らかに小さい、成長が途中で止まったように見える、体重が増えない場合には注意が必要です。
成長障害の原因
成長障害の原因は、大きく分けて、栄養不足、栄養の消化・吸収不良、エネルギー消費の増加、栄養やエネルギーの喪失、内分泌疾患、先天性・遺伝性疾患などがあります。
栄養面では、食事量不足、成長期に適さないフード、栄養バランスの悪い食事、嗜好性が低く十分に食べられないことなどが原因になります。消化管寄生虫、慢性下痢、嘔吐、吐出、膵外分泌不全、腸疾患などでは、食べていても栄養を十分に利用できず、成長が遅れることがあります。
内分泌疾患では、成長ホルモン欠乏症、若年性甲状腺機能低下症、若年性糖尿病、副腎皮質機能低下症などが関係することがあります。また、成長期に長期間ステロイド剤を使用すると、成長が抑制されることがあります。
その他、先天性心疾患、腎疾患、肝疾患、門脈体循環シャント、慢性炎症、慢性貧血、骨格異常、遺伝性疾患なども成長障害の原因になります。
成長障害の症状
成長障害では、体が小さい、体重が増えない、同腹の兄弟姉妹より明らかに小さい、四肢が短い、体のバランスが不自然、毛づやが悪い、元気がない、食欲がない、または食欲はあるのに太らないなどがみられます。
原因によっては、下痢、大量の便、悪臭の強い便、嘔吐、吐出、多飲多尿、発育不良、被毛の薄さ、対称性脱毛、皮膚の異常、寒がる、ぼんやりしている、発作、ふらつき、心雑音、腹部膨満などを伴うことがあります。
離乳後から食べたものを吐き戻す場合は、食道の異常や血管輪異常が関係することがあります。食欲がとてもあるのに成長しない場合は、消化不良、吸収不良、寄生虫症、エネルギー喪失性疾患などを考える必要があります。
成長障害の診断/検査
診断では、まず年齢、品種、性別、出生時の状態、親や同腹仔の体格、成長の経過、食事内容、給与量、食欲、便の状態、嘔吐や吐出の有無、ワクチン歴、駆虫歴、既往歴、投薬歴などを確認します。
身体検査では、体重、体高、体格、筋肉量、体のバランス、骨格、被毛、皮膚、口腔内、腹部、心音、神経症状の有無などを評価します。体高に対して体重が多い場合は内分泌疾患が疑われることがあり、反対に低体重で成長が悪い場合は栄養不足、消化吸収不良、全身性疾患が疑われます。
検査としては、糞便検査、尿検査、血液検査、血液化学検査を基本に行います。必要に応じて、甲状腺ホルモン検査、IGF-1検査、ACTH刺激試験、血糖値検査、TLI検査、コバラミン・葉酸測定、レントゲン検査、超音波検査、心臓検査、遺伝子検査などを行います。
成長障害は原因が幅広いため、1回の検査だけで診断できないこともあります。成長曲線や体重の推移を継続して確認することが重要です。
成長障害の治療
治療は原因によって異なります。
栄養不足が原因であれば、成長期に適した総合栄養食へ変更し、給与量や回数を調整します。寄生虫症があれば駆虫を行い、消化吸収不良があれば原因に応じて食事療法、内服薬、ビタミン補充などを行います。
甲状腺機能低下症、糖尿病、副腎皮質機能低下症などの内分泌疾患がある場合は、それぞれに応じた治療を行います。門脈体循環シャント、血管輪異常、一部の骨格異常などでは、外科的治療が必要になることもあります。
原因が早期に分かり、適切に治療できれば、その後の成長が追いつくこともあります。ただし、成長板が閉じた後では体格の改善に限界があるため、早期発見と早期治療が大切です。
成長障害の予防
成長障害のすべてを予防することはできませんが、成長期の適切な管理によりリスクを下げることができます。
子犬・子猫には、成長期に適した栄養バランスのよいフードを与え、自己流の手作り食や極端な食事制限は避けましょう。定期的な体重測定を行い、成長のペースを確認することも大切です。
また、ワクチン接種、糞便検査、適切な駆虫、定期健診により、寄生虫症や感染症、先天性疾患、内分泌疾患などの早期発見につながります。成長期に薬を長期間使用する場合は、成長への影響も含めて獣医師と相談しながら管理する必要があります。
繁殖を考える場合は、遺伝性疾患の可能性にも注意が必要です。犬種によっては遺伝子検査が有用な場合があります。
成長障害の看護/その他
ご自宅では、体重、食事量、食欲、便の状態、嘔吐や吐出の有無、元気、飲水量、排尿量を記録してください。できれば週1回程度、同じ条件で体重を測ると変化が分かりやすくなります。
食べているのに成長しない、同腹仔より明らかに小さい、下痢や嘔吐が続く、便の量が多い、吐出がある、毛づやが悪い、元気がない、多飲多尿がある場合は、早めにご相談ください。
小さい体格がその子の個性である場合もありますが、病気によって成長が妨げられている場合もあります。特に成長期は、診断と治療のタイミングがその後の体格や健康状態に影響することがあります。「少し小さいだけ」と決めつけず、気になる場合は動物病院で成長の評価を受けましょう。
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