うちの子のフシギ Vol.05:犬は本当に白黒で見えているの?

「犬には色が見えない」「犬の世界は白黒」と聞いたことはありませんか?

実は、これは正確ではありません。
犬も色を見ることができます。
ただし、私たち人間とは見分けられる色の範囲が違います。

では、愛犬には私たちの世界がどんなふうに見えているのでしょう?

人と犬では「色を見る仕組み」が違う

網膜には、明るい場所で色の識別に関わる
「錐体(すいたい)」という視細胞があります。

一般的な人の色覚では3種類の錐体を利用して色を識別します。
一方、犬では主に2種類の錐体が働いています。

このような色覚を「二色型色覚(dichromatic vision)」といいます。

つまり犬は「色が見えない」のではなく、
人間よりも色を区別するための情報が少ないのです。

犬が比較的区別しやすいのは「青系」と「黄系」

犬はすべての色を同じように見分けているわけではありません。
青系と黄色系の色は比較的区別しやすい一方で、私たちにははっきり違って見える赤・オレンジ・緑などは、犬には区別しにくいことがあります。

これは、犬が色を見るために使う錐体の種類が、人間より少ないためです。

ただし、「犬には赤が○色に見える」というように、人間の色にそのまま置き換えて説明することはできません。
犬が感じている「色」そのものを、私たちが直接見ることはできないからです。

大切なのは、犬の世界は白黒ではないけれど、私たちとは少し違う色の世界を見ているということです。

赤いボールを芝生に投げると?

ここで、身近な例を考えてみましょう。

人間には、緑色の芝生の上にある真っ赤なボールは
非常によく目立ちます。

ところが犬は、人間ほど赤と緑の色の違いを利用できません。
そのため、条件によっては
赤いボールと芝生の色の差が、人間が感じるほど大きくない
可能性があります。

だからといって犬がボールを見つけられないわけではありません。
犬は色だけでなく、
明るさ、輪郭、動き、位置などさまざまな視覚情報も利用しています。
もちろん、優れた嗅覚も重要な手掛かりになります。

犬のおもちゃは何色がいい?

犬に見つけやすいことを重視しておもちゃを選ぶなら、
青や黄色など、犬が区別しやすい色を選ぶという考え方があります。

例えば芝生の上で遊ぶボールやディスクなら、
人間から見て目立つ色だけでなく、
犬の色覚から見て周囲と区別しやすいかを考えてみるのも面白いでしょう。

ただし、見つけやすさは色だけでは決まりません。
背景との明るさの差、大きさ、形、動き、照明条件などによっても変わります。

犬は「白黒の世界」に住んでいるわけではありません

犬の見ている世界は、私たち人間と同じではありません。
しかし、白・黒・グレーだけの世界でもありません。

犬には犬なりの色の世界があります。

いつもの散歩道やお気に入りのおもちゃも、
愛犬には私たちとは少し違った景色として見えているのかもしれません。

今回のポイント
・犬の世界は白黒ではありません。
・犬は主に2種類の錐体を利用する「二色型色覚」です。
・青系と黄色系は比較的区別しやすいと考えられています。
・赤と緑などの区別は人間ほど得意ではありません。
・犬は色だけでなく、明るさ・輪郭・動きなども利用して物を見ています。


参考文献

  1. Neitz J, Geist T, Jacobs GH.
    Color vision in the dog.
    Visual Neuroscience.
    1989;3(2):119-125.
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    Royal Society Open Science.
    2017;4(11):170869.
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  3. Kasparson AA, Badridze J, Maximov VV.
    Colour cues proved to be more informative for dogs than brightness.
    Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences.
    2013;280(1766):20131356.
    doi:10.1098/rspb.2013.1356.

※本記事は犬の一般的な視覚特性について解説したものです。
個体差や眼疾患などによって視覚機能は異なる場合があります。

この記事を書いた人

福山達也