分離不安

※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!

分離不安とは?

分離不安(ぶんりふあん)とは動物が愛着を感じている人(通常は1人または複数人の家族)から分離され、一人になると強い不安を感じ様々な問題行動を起こしてしまうことを言います。通常は家族が外出時し留守番をさせている時やそのことが予測されたときに症状が現れます。症状は、軽度なものから深刻なものまで様々です。

特に社会的で群れで社会生活をおくる犬にとって、飼い主からの分離に関して軽度の不安反応は良く見られる行動です。しかし、破壊的行動、無駄吠え、肢端皮膚炎など重度になった場合は病気として対処する必要があります。

分離不安は一般に犬に多くみられる問題で、早期離乳、室内飼育犬や保護犬、一人暮らしで起こる場合が多いとされています。犬の病気と思われがちな分離不安ですが、猫でも時々おこります。

分離不安の原因

 犬は社会的な動物で群れでの生活を好み、孤独には弱い傾向があります。ですから、愛着対象である人(通常は1人または複数人の家族)から分離されると少なからずストレスを感じます。このストレスが強く出ることが分離不安の原因です。
 一頭で飼育されている場合は、多頭飼育の場合より分離不安になりやすいといわれます。また、親兄弟姉妹から早期に引き離されたり、ペットオーナーの生活スタイルの変化で、留守番に慣れていない、接する時間が減ったり、引越しなどの環境変化、愛情過多、トラウマ、加齢など様々なことが分離不安の原因や危険因子になりえます。

分離不安の症状

 留守番で一人になると強い不安を感じるため、落着きがなくなる、吠える、吠え続ける、室内のものを壊す、室内のひっかき行動、うろうろと歩き回る、物を噛んだり壊したりする、不適切な場所での排泄する、外出しようとすると噛んだり唸ったりする、足先を舐める(肢端舐性皮膚炎)などの行動が現れます。これらは留守番のときだけでなく、ペットオーナーが外出しょうと準備をはじめただけでも起こることがあります。
 ストレスが限界を超えたときは、無気力、食欲不振、抑うつ、流涎(よだれが多くなる)、嘔吐下痢、便秘などとしてあらわれることもあります。また、帰宅後、過度の後追い、激しい興奮などが見られることもあります。

分離不安の診断/検査

 特別な検査はありません。一番は問診や身体検査です。問題行動が起こる場合の状況を詳しく聞いて、必要であれば同じような行動や症状が考えられる他の病気を様々な検査で否定します。
 例えば不適切に排泄する場合、行動学的な問題なのか、泌尿器の問題なの消化器の問題なのかわからないことがあります。その場合、血液検査血液化学検査尿検査レントゲン検査超音波検査などを行いこれらを否定します。

分離不安の治療

 分離不安の治療は、主に環境修正、行動修正、内科療法の3つですが、基本は留守番の練習や一人でも楽しく過ごせる工夫をしてあげることが重要になります。これらの多くはペットオーナーの協力が必要です。
1.環境修正
・留守番の頻度や時間を可能な限り減らしたり、短くする。
・留守番前に散歩や遊びを十分に行う。
・散歩の時間を伸ばせないなら、駆け足で行うなど運動量を増やす。
知育玩具噛む玩具、ガム(グリニーズデンタルガムなど歯科用のガムを使うと効果的)を与える。特にガムはそのままではなく隠したりして遊びの要素もいれるとよい。
2.行動修正
・留守番の練習をする。
・外出を予測する行動を修正する。
例えば、外出する時にコートを着ているのなら、わざと外出しないときも着てみせたりして、その行動が外出に直結しないと思わせる。外出時や帰宅時に声をすぐに掛けたり触ったりしない(留守番の前後5〜15分は無視をする)。
・家族が在宅時でも、一人でいる時間を作る
既に症状がある場合はこれらだけでは対処できないことがありますので、気になる症状があるようなら早期に獣医師にご相談下さい。
3.内科療法
薬剤やサプリメントは不安徴候を軽減し、行動修正を行いやすくします。獣医師は様々な状況からそれらを使いわけます。ただし、環境修正や行動修正と併用するのが原則です。(日本では問題行動の治療に薬剤を用いるのを嫌う傾向にありますが、必要であれば使用したほうがペットオーナーも動物も幸せだと思います)
 サプリメントであるジルケーン小型犬・猫用中〜大型犬用)は一般にも入手可能です。まず、試してみるのはいいかもしれません。頓服的に内服する場合は外出などする30〜60分前くらいに飲ませるようにしましょう。また、より効果を求める場合は、やや多めの体重1kgあたり25mg以上を与えるのが効果的とされています。
※ジルケーンは当院でも販売しております(常時販売数に限りがありますが、ご予約いただければ通常翌日〜翌々日には入荷します)。

分離不安の予防

 分離不安は比較的予防できる問題行動だと言われています。
 ペットショップなどで入手する場合、早期離乳(「動物の愛護及び管理に関する法律」では、生後56日未満の犬や猫を親から離してはならない、としています。)していないか確認しましょう。
 仔犬で入手した場合は社会化期は様々な、動物や人、音、環境などにならし、恐怖対象を減らしましょう。
 幼少期からすこしづつ家族との分離を経験させ、とくに家族が在宅中でも、知育玩具や噛む玩具、ガムなどを与えるて一人遊びに慣らしておきましょう。
 最初はケージやサークル内で十分に慣らしてから、徐々に室内で遊ばせるようにした方が良い結果が得られます。
 幼少期の長時間の留守番や長期間のペットホテルなどは分離不安を与える要因になるので注意が必要です。

分離不安の看護/その他

 問題行動の診断には時間が必要です。特に最初は問診に重点がおかれます。上記のような症状が見られて分離不安を疑われる場合は、早期に当院にご相談いただくか、獣医師の診察を受けましょう。その場合、必ず事前にご予約ください。
 分離不安などの問題行動はほっておくとひどくなることがありますので、早期に対処することが必要です。
 高齢で分離不安が見られるようになった場合は、行動学上の問題だけでなく、基礎疾患がある場合がありますので、詳し検査が必要です。

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参考文献・資料等
  1. 犬の内科診療 Part2; 442-447:分離不安




<1>犬の不安に関連した障害に対する、フルオキセチン、ジアゼパム、行動調節療法の利用
<2>クロミプラミン-分離不安症以外の効用
<3>分離不安症の犬の管理
<4>クロミプラミン-分離不安症以外の効用
<5>犬の分離不安症に対する治療の評価
<6>今月の動物行動科症例 分離不安症
<7>ペットショップから仔犬で入手した犬と非営利のブリーダーから入手した犬との間の行動学的特質の差異
<8>今月の動物行動科症例 音恐怖症、認知機能障害、分離不安、関心を求める行動、および獣医学的原因
<9>不安に関連した問題行動を起こす犬におけるジアゼパムの効果に関する回顧的評価
<10>今月の動物行動学症例 24カ月にわたり1日に約3回起こる、食物と胃液の持続性嘔吐
<11>犬の分離不安症
<12>犬の訓練での支配vs指導
<13>犬の行動学的診断におけるシグナルメント要素、併存疾患、および傾向:1,644例(1991-2001)
<14>行動治療に用いる向精神薬の選択
<15>今月の動物行動学問題
<16>今月の動物行動学症例
<17>犬の早期性腺摘出の長期的な危険性と利点
<18>参考ポイント 犬と猫の分離不安症候群
<19>猫の分離不安症:136例(1991-2000)

この記事を書いた人

福山達也