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発咳とは?
発咳(はつがい)とは咳(せき)をすることです。医療分野では咳嗽(がいそう)とも言われます。肺や気道から空気を強制的に排出させるための生体防御運動で、通常繰り返して起こります。咳をすることで、気道に異物が入ることを防いだり、入ってしまった異物を出しています。当然、発咳は症状の名前で病気の名前ではありません。犬は様々な原因からよく咳をしますが、猫の発咳は犬に比べ遭遇する機会はあまり多くありません。ですからキャットオナーの中には猫の咳に気づかない人も多くいますので注意してください。
そして、咳は一般に2週間以内なら急性、2週間から2ヶ月くらい続いているなら遷延性(せんえんせい)、2ヶ月以上なら慢性とその続いている期間により3つに分けれられます。
発咳の原因
発咳の原因は様々なものが考えられます。
まずは細菌や犬伝染性気管支炎(ケンネルコフ:犬パラインフルエンザウイルス感染症(CPIV)と犬伝染性喉頭気管炎(CAV-2:犬アデノウイルス2型感染症)の混合感染などが原因とされています)、猫ウイルス性呼吸器感染症(猫ヘルペスウイルス、猫カリシウイルス)、マイコプラズマなどの感染症。鼻炎や気管虚脱、肺炎、肺水腫などの呼吸器系疾患、異物、炎症、腫瘍、寄生虫、アレルギーなどです。猫喘息でも咳が見られます。そして、犬では特に僧帽弁閉鎖不全症や拡張型心筋症、フィラリア感染症などの心臓の病気でも発咳が見られますので注意が必要です。
発咳の症状
一番の症状は発咳で、犬では「ガーガー」とか「ゴホゴホ」など大きな音がします。乾いたような音がする場合と湿気ったような音がすることがあります。これらで考えられる病気が分けられることもあります。
また、咳の出る時間帯も診断の目安になります。夜中や明け方に多い咳は心臓病の兆候の可能性が高いものです。
猫の発咳は一般にはなかなか分かりにくく、典型的な症状は、頭や顎を前に伸ばし、軽く舌を出しているように見えます。強い咳では床に首をすりつけるような姿勢になります。小さく「ヒッー」というような音が生じる程度ですので、犬のように大きな音はほとんど出しませんので、ご家庭では注意して観察する必要があります。原因にもよりますが発咳と共に、呼吸困難や喘鳴、チアノーゼ、くしゃみ、鼻汁などが見られることがあります。
発咳の診断/検査
まず、問診、身体検査、触診や聴診を行います。その後、レントゲン検査や超音波検査を行う必要があるでしょう。また。全身状態を把握したり病気を鑑別するために必要に応じて、血液検査、血液化学検査、尿検査、糞便検査などを行います。
全身状態があまりよくないとか、発咳の期間が長期におよぶ場合、気管支・肺胞洗浄検査、アレルギー検査、CT検査、気管支鏡検査などが必要になることもあります。毎日咳が出る、1日に3回以上咳が出る、1回の咳が1分以上続く場合は精査(詳しく検査)する必要があります。
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