発熱

発熱とは?

発熱(はつねつ)とは、病気に伴う兆候や症状の一つで、動物病院では熱発(ねっぱつ)とも言います。発熱は、生理的や深刻ではないものから生命を脅かすものまで、さまざまな原因によって引き起こされます。

犬や猫の平熱は人よりも高く、大体38.3度から38.8度くらいです。個体差があるので、日頃から体温測定をしてその子の平熱を知っておくことがとても大切です。平熱を大きく上回る(もしくは下回る)場合は、すぐに当院にご相談ください。通常平熱を0.5℃上回る39.3℃(または下回る:37.8℃以下)以上の場合は異常がかくれているかもしれません。40℃を超すと確実に熱があるといえますので、すぐにご相談ください。

熱があるときの状態やそれに伴う症状(元気がない、食欲不振など)をよく観察して、病的な発熱かどうかを判断してください。

厳しい暑さの中で発症する熱中症や日射病では体温がかなり上昇して命に関わる危険な状態になります。ただ、これは厳密には発熱ではなく高体温(こいたいおん)となります。

 

発熱の原因

発熱の原因は山程あります。発熱だけで病気を診断することはまず不可能ですが、大きく分けると、細菌やウイルスなどのによる感染、様々な炎症、腫瘍、免疫疾患、薬物、熱中症などです。以下に主なものを挙げておきます。

◎感染性疾患
犬パルボウイルス感染症犬ジステンパーウイルス感染症犬伝染性肝炎レプトスピラ症、猫カリシウイルス感染症、猫ヘルペスウイルス感染症、猫免疫不全ウイルス感染症猫伝染性腹膜炎猫白血病ウイルス猫汎白血球減少症、肺炎、歯根膿瘍、気管支炎、感染性腸炎、腎盂腎炎、膀胱炎、子宮蓄膿症、細菌性前立腺炎、椎間板脊椎炎、感染性関節炎、敗血症

◎炎症性疾患
刺激、異物、毒物、中毒、薬剤、自己免疫疾患(免疫介在性溶血性貧血、免疫介在性関節疾患、全身性エリテマトーデスなど)、 急性肝炎、中毒性肝障害、膵炎(犬・)、腹膜炎、胸膜炎、炎症性腸炎、食道炎、血管炎、多発性関節炎、多発性筋炎

◎悪性腫瘍
白血病、リンパ腫、形質細胞腫、肥満細胞腫、悪性組織球症

◎その他
肥満、熱中症、運動、換気不良など

発熱の症状

発熱は病気の名前ではなく、症状の名前なので、やはり症状としては発熱です。ただ、病気の場合には他にも、呼吸が荒い・早い、元気がない、食欲がない(食欲不振)、嘔吐下痢など様々な症状が見られます。

発熱の診断/検査

発熱がある場合、通常原因を特定するためにまず、血液検査血液化学検査尿検査ウイルス検査などが行われます。その他必要に応じてレントゲン検査超音波検査ホルモン検査などが必要になることもありますし、腫瘍の検査や炎症の検査などが必要になることもあります。

発熱の治療

発熱の治療はその原因によります。熱射病や熱中症など以外、一般的に発熱を急いで下げることは必要ではありません。なぜなら、発熱は有用な防御メカニズム(病気を治そうとしているから)です。ただ、激しい痛みや炎症によるもの、ひどい感染が起こってるなどの場合は鎮痛解熱剤を用いる場合もあります。

一般に感染症には原因により、抗生物質や抗ウイルス剤、抗真菌剤などが用いられ、炎症には抗炎症剤、免疫疾患には免疫抑制剤といった治療を行い。必要に応じて輸液(点滴)なども必要になります。

発熱の予防

日頃から体温測定をしてその子の平熱を知っておくことがとても大切です。動物の体温は、通常肛門に体温計を挿入して直腸温を測ります。体温計は、人間が使用する水銀体温計や電子体温計を動物用として使って構いません。動物専用に常備しておくことをおすすめします。病院では衛生面から使い捨てのプローブカバーを装着して体温を測ります。

◎動物の体温の測り方
まず暴れないよう身体を押さえます。1人では難しいときは、家族に頼むなどして危険のないように行いましょう。そして、しっぽを持ち上げ、体温計を肛門に差し込みます。その際、直腸を傷つけないようまっすぐさします。潤滑剤をつけたり、軽くねじりながらさすとうまくいきます。あまり肛門の奥に入れすぎないように注意してください。

発熱の看護/その他

体温を測定したら記録しておくと診察の役に立ちます。いつから熱があるのか、何をしていたら熱が上がったのか、気づいたことをメモしておくとよいでしょう。また、急に熱が出たのか、日がたつにつれて徐々に熱が高くなっていっているのか、日によって熱があったりなかったりと、ばらつきがあるのかなど観察してください。熱があるときは、少なくとも朝・夜2回体温を測定してください。

また、発熱以外に、他にいつもと違う症状はないか観察し、あればメモしておいてください。たとえば、食欲がない、元気がなお、呼吸がおかしい、嘔吐や下痢がある、痛みがある、歩き方がおかしいなどです。

日頃から身体を触る時に耳の内側を触る癖をつけておくといいでしょう。動物の身体は毛で覆われています。そのため実はちょっとした体温の変化を感じ取るのはなかなか難しいのです。耳の内側は毛がないので、いつも触っていると微妙な体温の変化を感じ取ることができる可能性が高くなります。

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参考文献・資料等
  1. プライマリ・ケアのための診療指針;54-58
  2. 小動物臨床指針;23-24
  3. 伴侶動物臨床指針Vol.9; 373-385


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