不穏とは?
不穏(ふおん)とは、愛犬・愛猫が落ち着かない、そわそわする、うろうろ歩き回る、じっとしていられない、普段より不安そうに見える状態を指します。
「不安そう」「興奮している」「神経質」「ずっと歩き回る」「何度も構ってほしがる」「寝つけない」「どこか不快そう」などと表現されることもあります。
不穏は行動上の問題としてみられることもありますが、痛み、呼吸困難、中毒、低血糖、肝性脳症、心疾患、神経疾患など、重大な病気のサインである場合もあります。特に、いつもの環境で急に落ち着かなくなった場合は注意が必要です。
不穏の原因
不穏の原因は、環境変化や不安などの行動学的要因だけではありません。医学的な原因として、痛み、不快感、中毒、薬の副作用、呼吸困難、心疾患、ショック、発熱、熱中症、掻痒、代謝異常、低血糖、低カルシウム血症、肝性脳症、尿毒症、脳や神経の病気などがあります。
薬剤では、甲状腺薬の過量、インスリン過量による低血糖、メトクロプラミド、気管支拡張薬、カフェイン類、抗ヒスタミン薬、一部の鎮痛薬、抗不安薬、抗うつ薬、ステロイド剤などで不穏がみられることがあります。複数の薬やサプリメントの組み合わせにより、セロトニン症候群のような危険な状態が起こることもあります。
また、発情、偽妊娠、分娩前後、頻尿、排便しぶり、外に出たがる行動、環境変化、失明、認知機能の低下、恐怖やストレスでも不穏に見えることがあります。
不穏の症状
不穏では、室内をうろうろ歩き回る、落ち着いて座れない、寝ない、夜間に歩き回る、鳴く、飼い主の後をついて回る、頻繁に外へ出たがる、身の置き所がないように見える、呼吸が荒い、震える、よだれが出る、過敏に反応するなどがみられます。
原因によっては、嘔吐、下痢、食欲低下、体重減少、多飲多尿、頻尿、排尿困難、腹痛、咳、呼吸困難、発熱、ふらつき、痙攣発作、意識の変化、瞳孔の異常、急な性格変化などを伴うことがあります。
特に、呼吸が苦しそう、歯ぐきが白いまたは紫色、ぐったりしている、意識がぼんやりしている、痙攣発作がある、強い痛みがある、毒物や人用薬を食べた可能性がある場合は、早急な診察が必要です。
不穏の診断/検査
診断では、まず不穏がいつ始まったのか、急に起こったのか、徐々に悪化しているのか、持続的なのか、発作的なのかを確認します。どのような時に起こるのか、夜間に多いのか、食後や運動後に起こるのか、環境変化や来客、雷、花火などの刺激と関係するのかも重要です。
病歴として、食欲、飲水量、排尿、排便、嘔吐、下痢、咳、呼吸状態、痛みの有無、発情の有無、服用中の薬やサプリメント、人用薬や毒物への接触、チョコレートやカフェイン類の摂取、殺虫剤や農薬への曝露などを確認します。不穏な様子を動画で記録できる場合は、診察時に非常に役立ちます。
身体検査では、体温、心拍、呼吸、粘膜の色、脱水、腹部の痛み、心音、肺音、神経反応、皮膚の痒み、歩き方、意識状態などを評価します。
検査としては、血液検査、血液化学検査、尿検査を基本に行います。必要に応じて、血糖値、電解質、カルシウム、肝機能検査、胆汁酸、アンモニア、甲状腺ホルモン、心電図、血圧測定、レントゲン検査、超音波検査、神経学的検査、CTやMRI、脳脊髄液検査、中毒関連検査などを検討します。
時に不穏の原因の特定は難しく、突き詰めていくと費用がかなりかかることがあります。
不穏の治療
治療は原因によって異なります。
痛みが原因であれば、痛みの原因を調べ、鎮痛や炎症の治療を行います。呼吸困難や心疾患が関係している場合は、酸素投与、心臓薬、利尿薬などが必要になることがあります。低血糖、低カルシウム血症、電解質異常、脱水などでは、点滴や補正治療を行います。
中毒や薬の副作用が疑われる場合は、原因物質の確認と早期処置が重要です。服用中の薬が原因の可能性がある場合でも、自己判断で中止せず、必ず獣医師にご相談ください。ただし、誤食や過量投与の可能性がある場合は、すぐに当院へ連絡してください。
肝性脳症、腎疾患、内分泌疾患、脳疾患、認知機能の低下などが原因の場合は、それぞれに応じた治療を行います。医学的な原因が除外された後に、不安や行動学的問題が疑われる場合は、環境調整、行動療法、必要に応じた薬物療法を検討します。
不穏の予防
不穏のすべてを予防することはできませんが、日頃の健康管理と環境管理でリスクを下げることができます。
人用薬、サプリメント、チョコレート、カフェイン類、殺虫剤、農薬、ナメクジ駆除剤、不凍液などは、愛犬・愛猫が届かない場所に保管してください。薬の投与量や回数は必ず指示通りに守り、複数の薬やサプリメントを併用する場合は事前にご相談ください。
また、定期的な健康診断、血液検査、尿検査により、肝臓、腎臓、甲状腺、糖尿病、心疾患などの早期発見につながります。高齢の愛犬・愛猫では、夜間の徘徊や落ち着きのなさが認知機能の低下や痛みのサインである場合もあります。
不穏の看護/その他
ご自宅では、まず安全を確保してください。落ち着かないからといって無理に押さえつけると、愛犬・愛猫がパニックになったり、咬傷事故につながったりすることがあります。静かで明るすぎない場所に移し、刺激を減らして観察してください。
観察するポイントは、不穏が始まった時間、持続時間、呼吸の様子、痛みの有無、食事との関係、排尿・排便、嘔吐、歩き方、意識状態です。動画が撮れる場合は、安全を優先したうえで記録してください。
呼吸が苦しい、ぐったりしている、痙攣発作、強い痛み、毒物や薬の誤食、急な腹部膨満、尿が出ないなどを伴う場合は、様子を見ずに早急に当院を受診してください。
不穏は「性格の問題」や「不安だけ」と思われがちですが、命に関わる病気の初期サインであることもあります。いつもと違う落ち着きのなさが続く場合や、急に始まった場合は、早めに当院へご相談ください。
pets
動物医療保険をお持ちの方は診察前に保険証を提示してください!
library_books
参考文献・資料等
[WR21,VQ21:]
■VMN Live
・

