異物誤飲(誤飲・誤食)

※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!

異物誤飲(誤飲・誤食)とは?

 動物は時に人が思ってもみないものを食べたり飲み込んだりしてしまうことがあります。これを異物誤飲(いぶつごいん)と言い、特に子犬や子猫は、好奇心旺盛で色々なものを誤って飲み込んでしまうことが多いので注意が必要です。データでは異物誤飲は、1歳以上の動物と比べ1歳未満ののほうが4倍も高いことがわかっています。
 飲み込んでしまうものは石やおもちゃ、衣類など様々で、症状や重篤度は飲み込んだものにより違います。
排泄されたイヤホン部品
排泄されたイヤホン部品

異物誤飲(誤飲・誤食)の原因

 異物誤飲は様々なものによって引き起こされます。果物や梅干の種、焼き鳥などの竹串、トウモロコシの芯、ボタン電池、医薬品(人用)、石、砂、針や画鋲などの金属、靴下などの布類、おもちゃ、紐など飼育環境にあるものはなんでも飲み込む可能性があります。

異物誤飲(誤飲・誤食)の症状

 症状は誤飲したものの種類や量などにより違い、重症度も異なります。一般的に食欲不振や流涎(よだれ)、嘔吐下痢、腹痛(急性腹症)などの消化器症状が主に見られますが、その症状は様々です。
 異物誤飲は時間が経過してしまうと、治療が困難になる場合や症状が重くなる場合があり、時には死に至ることもあるので注意が必要です。

異物誤飲(誤飲・誤食)の診断/検査

 問診、触診などで異物を疑わった場合、レントゲン検査超音波検査などで診断を行います。異物の種類によっては通常のレントゲンには写らないものや写りにくいものもあり、診断が難しい場合があります。そのような場合や腸閉塞などを疑う場合には、造影レントゲン検査を行ったり、CTや内視鏡、試験的開腹といって手術でお腹を開けてみる必要があります。
 また、レントゲンに写る異物で、鋭利なものや閉塞を起こしそうでない場合、定期的にレントゲンを撮影して排出まで位置を追って経過を観察する場合もあります。
 もちろん、鎮静や全身麻酔が必要な場合、全身状態を把握するために血液検査血液化学検査尿検査なども必要になります。

異物誤飲(誤飲・誤食)の治療

 治療法は摂取した異物の種類や量、摂取後経過している時間によっても異なります。異物によっては、便と一緒に排泄を待つ場合もありますが、状態によっては早急に処置が必要なこともあります。特に酸やアルカリが強い物、電池、腐食するものなどは早急に処置が必要です。
 飲み込んだ異物、飲み込んでからの時間にもよりますが、吐かせていいものであれば、催吐処置(異物を嘔吐させる処置)を試みます。この処置は通常、飲み込んでからの時間が2時間以内です。何時間も経過してからでは期待できません。また、液体や中毒の可能性がある異物を誤飲した場合には胃洗浄と言って胃を洗う処置が必要になることもあります。この処置には通常、麻酔が必要になります。
 催吐処置ができない、あるいは効果がない場合、内視鏡を使って除去を試みたり、胃や腸を切開する外科手術を行うなどします。また、異物による中毒症状などを起こしてしまった場合は解毒剤や点滴治療などを必要でしょう。
 特に、ボタン電池、アルカリ電池を誤飲した場合は、そのままだと極めて重大な消化管障害や消化管穿孔、腹膜炎などを起こしますので、直ち(2時間以内)に麻酔をして、内視鏡や外科手術を行い取り出す必要があります。
 ※現在当院には内視鏡の設備はありません。なお、以前はみなさんに二次病院をご紹介しておりましたが、いろいろなことがあり、現在は当院の会員動物のみ内視鏡のある二次病院や大学病院をご紹介します。非会員の方はご自身でお探しいただいておりますので、ご了承ください。

異物誤飲(誤飲・誤食)の予防

 誤飲・誤食が多い年齢は1-3歳で、特にこの期間は注意が必要です。動物の飼育環境に飲み込みそうな物や興味を示しそうな物を置かないことが大切です。また、散歩時などには、何が落ちているのか分からないような道脇の草むらなどの場所では、きちんとリードつけ、短くしてコントロールしましょう。拾い食いは何を食べたか分からないこともあり、大変危険です。あまり頻繁に拾い食いするようであれば、散歩中のみ口輪を使用するのも一つです。
 特に犬では、子犬の時からきちんとクレイトトレーニングを行い、留守番中はできるだけゲージサークルに入れることを心がけましょう。
 日頃から、スプーンやフォークを使って食事を与えることや焼鳥などの竹串に刺さったものをそのまま食べさせたりすることはスプーンやフォーク、竹串などを一緒に飲み込んでしまう可能性があるため非常に危険ですから控えましょう。
 タバコやタバコの吸殻も危険です。動物の周辺からは遠ざけておきましょう。そもそも愛犬、愛猫家なら、様々な悪影響から喫煙は控えましょう。
 万が一、異物を飲み込んでしまった場合、または、摂取したことが疑われる場合には、早急に獣医師の診察を受けましょう。その場合、異物が食品や薬物の場合は、内容の表示がある袋や箱を持参してください。また、異物の一部、同じものなどがあれば、治療方針決定の目安にもなりますので可能であれば持参してください

異物誤飲(誤飲・誤食)の看護/その他

 何か口にくわえていて誤食につながる可能性がある場合には、すぐに取り除きましょう。但し、取り上げようとすると急いで飲み込んだり怒って噛みついたりする可能性もあるので、おやつや大好きなおもちゃなどで気をひき、好きなものと交換するようにして取り除くと良いでしょう。
 異物誤飲は、飲み込んだもによっては催吐処置や胃洗浄、内視鏡や緊急手術が必要になったりと、場合によってはそれなりの費用が必要になります。ですから、日頃から誤飲・誤食をさせないことが重要です。特に、子犬子猫は注意してください。
 固形物を飲み込んだ場合、多くはウンチと共に出てきます。ですからウンチをざるなどに回収し、水洗いして飲み込んだ異物が排出されるか2~3日確認するといいでしょう。

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参考文献・資料等
  1. 犬と猫の救急診療;49-51:誤食


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この記事を書いた人

福山達也