※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペットオーナー以外はご遠慮ください。まずはご自身のかかりつけ獣医師にお問い合わせください。ご理解とご協力をお願いいたします!
異嗜・異食症とは?
異嗜(いし)・異食症(いしょくしょう)とは、食餌として不自然なもの( 例:石、土、草、衣類、金属片、糞便、ペットシーツなど) を摂取したり、あるいは舐めたりすることをいいます。
一般に猫よりも犬で多くみられ、犬種や猫種、性別による違いがあまりみられません。年齢別では、若齢の動物に多いとされていますが、どの年齢でも見られます。
ただ、糞便を食べてします食糞行動に関しては、テリア系やハウンド系、シェトランド・シープドッグに多いと報告されています。ちなみにその報告ではプードルは少ないそうです。また、犬の食糞行動は食欲旺盛の犬、多頭飼育、猫と同居している犬うおいて多いようです。
異嗜・異食症の原因
異嗜の原因は大きく、身体的(医学的)なものと行動学的なものに分けられます。
身体的な原因には、慢性消化器障害(炎症性腸疾患、膵外分泌不全など)、肝臓疾患(例:門脈体循環シャントなど)、寄生虫および鉄やビタミンB1欠乏など栄養障害の際認められることがあります。また、糖尿病、副腎皮質機能亢進症、甲状腺機能低下症などの内分泌疾患、在る種の薬剤により引き起こされことも知られていますし、高齢の動物では認知機能不全でも見られます。
行動学的な原因としては、関心を求める行動、常同行動(あるものに執着して、同じ動きを繰り返す行動)、分離不安などの様々な不安が引き金になっていることが多くあります。また遊びの行動の一つとして行うこともあります。
異嗜・異食症の症状
石、土、草、衣類、金属片、糞便(食糞症)、ペットシーツなど食餌以外の不自然なものを食べる。人の関心を引こうとして異物を食べたり、留守番中や散歩時に異物を食べる。
長期的に異嗜が続いた場合、成長不良、低体重、削痩(痩せていること)などが見られることもあります。また、摂取した異物が腸閉塞などを起こすこともあります。
異嗜・異食症の診断/検査
最初に重要なことは身体検査と問診です。身体的な原因か行動学的な原因を見極めます。
異嗜・異食症の治療
原因により様々ですが、特に行動学的な問題の場合はご家庭で忍耐強く行う必要があります。
まず、食餌の質に問題がある場合、適切なプレミアムペットフードを適切な回数や量で与えます。
医学的原因や栄養障害の場合はその基礎疾患の治療や栄養素の補給を行います。
行動学的な問題の場合は、それぞれ考えられる行動に対して対処します。
異嗜・異食症の予防
若齢期からきちんとしたプレミアムペットフードをきちんとした量、回数与えることを心がけましょう。
異常な行動が見られたら早期に当院にご相談ください。特に行動学的な問題の場合、放置するとそれだけ治療が難しくなったり、時間が必要になったりします
異嗜・異食症の看護/その他
可能な限り食べては不都合なものから犬猫を遠ざけることが基本です(留守番時にはケージに入れる。散歩時はリードを短く持つ、ジェントルリーダーなどのヘッドカラーを装着するなど)。また、不都合なものを食べているときに叱ったり、無理に取り返そうとするとかえって行動を強化したり、攻撃されてしまうこともありますので注意してください。
食糞行動は人間にとっては不快で不都合な行動ですが、動物にとっては正常な行動であることも多いので、注意が必要です。ご家庭でできる対処法としては、子犬や子猫には適切なプレミアムペットフードを適量与える。風味を変えるために、フードを変えてみる。食糞を抑えるシロップやサプリメントを加えるなどを試してみてください。もちろん、糞便は排便後速やかに片付け、長時間放置しないことは徹底してください。
特定のおもちゃなどに執着する場合は、ビターアップルスプレーなどを用いるのもいいいでしょう。
ご家庭では異嗜の状況をスマホや見守りカメラなどでビデオ撮影して見せていただけると診断の助けになることがあります。
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参考文献・資料等
- 犬の内科診療 Part2; 448-453:異嗜
<1>獣医臨床歯科学の実際
<2>アビシニアンおよびソマリ猫におけるピルビン酸キナーゼ欠損症の臨床経過
<3>ドーベルマン・ピンシャーの毛布および脇腹しゃぶり
<4>犬における食糞によって引き起こされたカルプロフェン中毒の疑い
<5>犬の膵外分泌機能不全の臨床症状に食事が及ぼす効果
[WR2104,VQ2104:異嗜、異食症、食糞]
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