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発熱
発熱(はつねつ)とは、病気に伴う兆候や症状の一つで、動物病院では熱発(ねっぱつ)とも言います。発熱は、生理的や深刻ではないものから生命を脅かすものまで、さまざまな原因によって引き起こされます。 犬や猫の平熱は人よりも高く、大体38.3度から38.8度くらいです。個体差があるので、日頃から体温測定をしてその子の平熱を知っておくことがとても大切です。平熱を大きく上回る(もしくは下回る)場合は、すぐに当院にご相談ください。通常平熱を0.5℃上回る39.3℃(または下回る:37.8℃以下)以上の場合は異常がかくれているかもしれません。40℃を超すと確実に熱があるといえますので、すぐにご相談ください。 -
コクシジウム症:Coccidiosis
コクシジウム症は、犬や猫の腸に寄生する単細胞の寄生虫であるコクシジウムによって引き起こされる感染症です。特に子犬や子猫、免疫力の低下した動物で問題となりやすく、宿主の腸の細胞に侵入してそこで増殖することで症状が現れます。これらの寄生虫は主にシストイソスポーラ属のCystoisospora felisとCystoisospora rivoltaによって引き起こされ、人や犬には感染しません。ただし、トキソプラズマ属は人畜共通感染症を引き起こすことがあり、これとは区別されます。 -
脱水:Dehydration
脱水は体内の水分不足で、水分補給が不足したり、過剰に水分を失ったりする状態です。症状には体力低下、乾燥した歯茎、皮膚の張り、元気不足が含まれます。脱水の診断には皮膚張力テストが使用され、治療には点滴が一般的です。予防には常に新鮮な水を提供し、特に暑い日や運動時に注意が必要です。脱水は深刻な問題であり、早めの対処が重要です。ペットの健康を保つために水分補給に注意が必要です。 -
ホップ中毒
ホップは一般にはビールに苦味と香りを与える主原料として用いられるアサ科ツル性の多年草です。日本国内では北海道の一部にのみ自生していますが、最近では緑のカーテンとして園芸店で売られていることがあります。また、食用やハーブとして用いられていますが、犬が摂取すると大変危険ですので注意志天下さい。 グレイハウンド、ラブラドールレトリバー、セントバーナード、ポインター、ドーベルマン、ボーダーコリー、イングリッシュ・スプリンガー・スパニエル、北欧犬種などは特に影響を受けやすいようですが、どの犬種でも中毒を起こすリスクがありますので与えないで下さい。 海外では、クラフトビール醸造ブームや家庭でビール醸造が行えることから、ホップを誤食するkとによる中毒が多く発生しているようです。国内での危険は園芸用や家庭で栽培されたものの誤食が主なものになります。 -
急性腹症:Acute Abdomen
腹部に生じる痛みを「腹痛(ふくつう)」と言いますが、突然おなかが激しく痛くなることを、急性腹症(きゅうせいふくしょう)と言います。この急性腹症には緊急手術を含む迅速な対応が必要となる重篤な病気が隠れていることもありますので注意が必要です。特に日頃から言葉を発しない動物の場合、この急性腹症にペットオーナーが気づいてあげる必要があります。 -
猫ヘルペスウイルス感染症
猫ヘルペスウイルス1型(FHV-1)は猫ウイルス性鼻気管炎とも呼ばれ、伝染性のとても強いウイルスで、世界中に分布しています。そのため多くの猫に影響し、猫のウイルス疾患の代表といっても過言ではありません。このウイルス感染はインフルエンザ様の症状を示し、結膜炎や目ニヤ、鼻炎などなど上部気道炎が見られます。 その症状が人の風邪症状と似ているため、猫カリシウイルス感染症や猫クラミジア感染症とならび、通称「猫風邪(猫ウイルス性呼吸器感染症)」とも呼ばれています。猫ヘルペスウイルス感染症はこれらの他の呼吸器感染症と混合感染し併発することもあります。 -
猫カリシウイルス感染症
猫カリシウイルス感染症は、猫ヘルペスウイルス感染症とならび俗に「猫風邪」と呼ばれる猫ウイルス性呼吸器感染症の代表的なウイルスです。どの猫種やどの年齢の猫でも感染・発症しますが、特に抵抗力の低い猫で発症しやすい病気です。 -
胆泥症
胆嚢(たんのう)とは、肝臓に付属する袋状の構造物です。肝臓で作った脂肪の消化に重要な役割を果たす胆汁を蓄えて、濃縮しています。食事すると胆嚢が収縮し、それに伴い胆汁は総胆管を通って十二指腸に放出されます。 胆泥(たんでい)症とは、何らかの原因でこの胆汁が濃縮して変質し、正常な胆汁とは異なる胆泥とよばれる泥状になったものが胆嚢に貯留した状態をいいます。 胆汁の成分が変質して結石になったものを胆石といいますが、犬では胆石症の発生は比較的まれで、胆泥症の方が多く見られます。また、胆泥は変化が進むと胆嚢粘液嚢腫に発展する可能性があるとされています。 -
鼻炎
鼻炎(びえん)とは鼻腔内(鼻の穴)の粘膜に炎症が起こった状態のことをいいます。犬や猫の鼻炎は、細菌、ウイルス、真菌(カビ)など感染症によるもの、アレルギーや鼻腔内の腫瘍によるもの、また、異物の吸引や口腔内の疾患に続発して発生するものなど様々な原因があります。 犬では特発性鼻炎という原因不明の鼻炎があり、鼻の長い中型犬から大型犬や特にダックスフンドに多いとされています。 -
尿蛋白(尿タンパク)
尿タンパク(にょうたんぱく)とは尿中(オシッコ)に排泄される蛋白のことです。正常な尿には蛋白はほとんど含まれないか、あるいは全く含まれません。主に腎臓の病気の判定に利用される指標の一つが、この尿蛋白(にょうたんぱく)です。尿蛋白は蛋白尿(たんぱくにょう)ともいいます。蛋白尿の殆どはタンパク質の中のアルブミンです。 -
犬ブルセラ症
犬ブルセラ症はブルセラ・カニス(Brucella canis)という細菌による人と動物の共通感染症(Zoonosis)です。ブルセラ症には他にもBurucell.abortus(主に牛) 、Burucell.suis(主に豚) 、Burucell.melitensis(主に山羊、羊) などもありますが、日本では1970年代にほぼ撲滅されています。別名でマルタ熱、波状熱、ジブラルタル熱と言われることもあります。 国内では2003年の静岡の繁殖施設の51頭、2005年の沖縄の繁殖施設の16頭、2006年の大阪の繁殖施設の139頭、2008年の愛知のペットショップ兼繁殖施設の15頭、2008年の東京などのドッグレンタル店の18頭など時々集団感染も見受けられます。また、1999年4月から四類感染症に感染症法によって指定されています。 -
汎骨炎
汎骨炎(はんこつえん)とは、特に中型〜大型の若い犬に見られる骨の炎症です。2歳齢未満の雄(オス)犬に多いと言われています。主に前肢(前足)に起こることが多い病気ですが、後肢(後足)でも起こることがあり、1本あるいは複数の足で同時に発生します。