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内分泌科(犬)
上皮小体機能亢進症:Hyperparathyroidism
上皮小体機能亢進症は、犬に見られる疾患で、副甲状腺からのホルモンの過剰分泌により、高カルシウム血症を引き起こします。主な症状は多飲多尿と高カルシウム血症で、手術や治療法にはカルシウム値の調整が含まれます。予防法はありません。手術や治療後のカルシウム値モニタリングが重要で、ビタミンD製剤の使用は効果が不確か。高カルシウム血症を放置するとシュウ酸カルシウム結石や細菌性膀胱炎のリスクがある。 -
内分泌科(犬)
尿崩症:Diabetes Insipius
尿崩症は、尿の濃縮障害を引き起こす疾患で、中枢性尿崩症(CDI)と腎性尿崩症(NDI)の2つの主要なタイプがあります。多飲多尿が一般的な症状で、中枢性尿崩症の場合、神経症状も見られることがあります。診断にはデスモプレシン試験やMRI検査が必要です。治療には薬剤の投与が含まれ、原因によりますが、水分補給を適切に行うことが重要です。予防方法は存在せず、神経症状が見られる場合はMRI検査を検討することが勧められます。 -
内分泌科(犬)
高脂血症:Hyperlipidaemia
総コレステロール値とは、コレステロールとトリグリセリド(中性脂肪とほぼ同義)を合計したものですが、高脂血症とは、血液中のコレステロールとトリグリセリドの両方、または一方の濃度が増加して高い値を示している状態をいいます。病的な高脂血症が続く場合、正式には「脂質代謝異常症(ししつたいしゃいじょうしょう)」とか「脂質異常症(ししついじょうしょう)」と表現するのが正式だと思われます。 コレステロールなどの脂質が血液中を運搬されるときは、蛋白質と結びついた状態(リポ蛋白)で運ばれますが、高脂血症は、リポ蛋白と結合ができず遊離した状態の脂質が増えたり、単独あるいは複数種のリポ蛋白が増えたりしている状態です。なお、食後約10時間以内であれば、リポ蛋白のうちでも、腸から吸収され脂質を肝臓に輸送するカイロミクロンが血中に存在するのが正常な状態ですので、食後約10時間以内の値は生理的なものとして除外されますが、約12時間以上の絶食時にも高値を示している場合には何か原因がある可能性があります。 -
内分泌科(犬)
副腎皮質機能低下症(アジソン病)
副腎皮質機能低下症(ふくじんひしつきのうていかしょう)は俗に「アジソン病」と呼ばれることもあります。副腎は、左右の腎臓の近くにあり、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌する大切な内分泌器官です。このコルチゾールは、糖代謝や脂質代謝、タンパク質代謝、体の免疫系やストレスに対する作用などさまざまな働きを担っています。 副腎皮質機能低下症になると、この副腎皮質ホルモンの分泌が低下することにより、さまざまな症状が引き起こされます。若齢〜中年齢(平均約 4 歳齢)の雌犬(特に避妊手術をしていない雌)で多く、海外では純血種に多いと言われています。猫では珍しい病気です。 -
内分泌科(犬)
副腎皮質機能亢進症(クッシング症候群)
犬の副腎皮質機能亢進症は、人(1/10万人程度)や猫では稀なのに比べて発生率が高く(500頭に1頭)、犬で最も重要な内分泌疾患のひとつです。「クッシング症候群」と呼ばれることもあります。特に中高齢の5〜15歳で、発症することが多く、まれに先天性にも見られます。また、雌(メス)に多いと言われ、プードル、ダックスフンド、シュナウザー、ボストンテリア、ボクサー、ビーグルに多く見られると報告されています。 副腎は、左右の腎臓の近くにあり、副腎皮質ホルモン(コルチゾール)を分泌する内分泌器官です。このコルチゾールは、糖代謝や脂質代謝、タンパク質代謝、体の免疫系やストレスに対する作用などさまざまな働きを担っています。副腎皮質機能亢進症は、この副腎皮質ホルモンが過剰に分泌されることにより起こる病気で、さまざまな症状が引き起こされます。 -
内分泌科(犬)
糖尿病(犬編)
糖尿病はインスリン不足または効果不足により、血糖値が高くなる病気で、犬にも見られます。糖尿病の原因は膵臓機能の低下や身体の反応不良が主な要因で、主にⅠ型とⅡ型に分類されます。症状には多飲多尿、体重減少、合併症が含まれます。診断は高血糖と尿糖の同時検出で行われます。治療にはインスリン投与が一般的で、予防には適切な食事と運動が重要です。インスリン療法の副作用には低血糖があり、注意が必要です。糖尿病は飼い主の健康とも関連しており、スエーデンの報告では犬がII型糖尿病の場合、飼い主もII型糖尿病にかかるリスクが高まることが示唆されています。 -
内分泌科(犬)
甲状腺機能亢進症:Hyperthyroidism
甲状腺機能亢進症(こうじょうせんきのうこうしんしょう)は、特に猫で多く見られる病気です。のど元の気管の左右に張り付くように存在する豆粒ほどの小さな臓器(内分泌腺)である甲状腺から、体の代謝を活発にする役割をもつ甲状腺ホルモンが分泌されますが、そのホルモンの分泌が異常に増加することで起こります。 中~高年齢の猫がなりやすい病気(7歳以上の猫の10%以上がこの病気にかかっているという報告もあります。)で、毛艶が悪くなり、毛がバサバサしたり、活動性が増したり、落ち着きがなくなったり、食欲が旺盛なのに体重が減っていくというような症状が見られた場合は、甲状腺機能亢進症を疑います。猫種では雑種猫に多く、バーミーズ, トンキニーズ, ペルシャ, アビシニアン,ブリティッシュショートヘアーは罹率が少ないと報告[3]されています。 ちなみに犬で甲状腺機能亢進症が起こることは稀で、逆に甲状腺機能低下症が多く起こります。犬で起こりやすい犬種は、ゴールデン・レトリバー、シベリアン・ハスキー、ビーグル、ボクサーで、10歳以上の高齢犬が多いとされています。 -
内分泌科(犬)
甲状腺機能低下症:Hypothyroidism
甲状腺機能低下症は犬の疾患で、主に高齢の大型犬で見られます。甲状腺からのホルモン不足により代謝が低下し、さまざまな症状が現れます。一般的な症状には体重増加、皮膚の問題、倦怠感、食欲の変化などが含まれます。診断には血液検査が必要で、治療には甲状腺ホルモン製剤の投与が行われます。早期発見と適切な治療が重要であり、予防法は特にありません。継続的な検査と治療が必要で、予後は一般的に良好です。