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子宮蓄膿症
子宮は、雌(メス)犬や猫の腹腔内にあるY字型の生殖器官です。子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)とは、この子宮内に細菌感染が起こることで膿が溜まり、さまざまな症状を引き起こす病気です。猫に比べると犬に多く見られ、女性ホルモンの影響を受けやすく、特に子宮粘膜が増殖している発情後期に細菌感染が起こりやすいため、避妊手術をしていない中高齢での発症が多い病気です。避妊手術をしていないメス犬では最大19%程度が10歳までにこの病気になると報告されています。通常の子宮はもし細菌が侵入しても防御システムが働き排除できるのですが、発情出血後の発情休止期にはこの防御システムがうまくいかず感染が成立してしまいます。そのため、だいたいこの病気の数週間前に発情がきていることがおおい病気です。 また、子宮蓄膿症の発症には卵巣からのホルモンの分泌が関係しており、卵巣摘出を行っていればほとんど発症せず、当たり前ですが卵巣子宮摘出をしている場合には発症しません。 経産の犬よりも未経産の犬で多いと言われています。 -
膵炎(猫編)
膵炎(すいえん)とは、膵臓に炎症が起こる病気のことで、大きく分けて「急性膵炎」と「慢性膵炎」があります。以前は猫では稀な病気と考えられていましたが、実は近年、多くの猫がこの病気にかかってることが分かってきました。特に在来短毛種、シャム猫は膵炎が多いようです。 膵臓では、非常に強力な消化酵素(アミラーゼ、リパーゼ、トリプシンなど)が作られています。これらの消化酵素は通常、膵臓を傷つけないよう十二指腸へ運ばれてから活性化します。しかし、なんらかの原因で消化酵素が膵臓内で突然活性化することで、自分で自分の膵臓を消化してしまい、傷つけてしまうことで「急性膵炎(きゅうせいすいえん)」が起こります。症状が重いものでは命に関わることのある病気です。 「慢性膵炎(まんせいすいえん)」は、少しずつ膵臓に炎症が起こる病気で、急性膵炎から波及すると考えられています(猫の膵炎の約90%は慢性膵炎と報告されています)。猫では犬と違い、急性膵炎よりも慢性膵炎が多いと言われていて、慢性膵炎は、肝臓疾患、胆管炎、胆管閉塞、肝リピドーシスなどとも関連していることがありまずが、お互いの病気がどのように作用しているのかはよくわかっていません。 また、猫では糖尿病の一つの原因として膵炎があると考えられています。 -
胆管炎/胆管肝炎
※電話などでの各種病気に関するお問い合わせは、通常診療業務に支障をきたしますので、当院をご利用のペッ […] -
乳腺腫瘍(猫編)
一般的に猫の乳腺(にゅうせん:おっぱい)は左右で4対あります。乳腺腫瘍(にゅうせんしゅよう)とはこの乳腺に腫瘍ができる病気で、猫の腫瘍の中で、多くが10歳程度以上の老齢の雌(メス)猫に見られ、10万頭当たり12.6〜25.4頭の発症率です。これは、造血器、皮膚に続き、3番目に多く見られる腫瘍で、猫の腫瘍全体の8.2〜40%を占めると報告されています。もちろん稀ですが雄(オス)に見られることもあります。猫の乳腺腫瘍がなにより厄介なのは、63~91.9%が悪性で、悪性の場合はリンパ節や肺への転移が最もよくみられ、肝臓、腎臓、脾臓などへの転移もあります。 -
膿胸
肺の周囲に、胸腔という空間があります。膿胸(のうきょう)とは、その胸腔に細菌感染により膿が溜まり呼吸困難などをおこす病気です。一般的に犬よりも猫に多く見られ、特に室外飼育(論文によっては室内室外差はないという報告もあり)の比較的若い雄猫に多く見られる病気です。また多頭飼育の場合はリスクが3.8倍も高いとされています。 猫エイズウイルス感染症や猫白血病ウイルス感染症などの、免疫力を低下させる病気に感染している場合は、免疫力の低下が原因で膿胸を発症しやすいとも言われます。 重症化してしまうと治療中に死亡してしまったり、予後が悪くなることが多いので早期発見、早期治療が重要です。 -
猫喘息
猫は犬に比べ慢性的な咳をすることが少ない動物です。猫の喘息(ぜんそく)は、そんな中でも何かしらの原因による気管支の慢性炎症により、分泌物の増加が起こって気道が狭くなり、慢性的な発咳や重度な呼吸障害(喘息発作)を起こす病気です。この病気はヒトの喘息に似ています。 若齢〜中年齢の猫に見られ、性別には関係なく、多くの品種の猫に見られますが、シャム猫に多いとする報告もあります。アメリカでは20匹に1匹(5%)が罹患する慢性呼吸器疾患だとも言われます。 猫喘息と確定診断するまでには様々な検査が必要になりため、発咳を症状とする気管支疾患を猫気管支疾患と総称して呼ぶこともあります。 -
体重・体温・心拍数・呼吸数の量り方
健康状態を知る上で、また我々獣医が診察する上でもこのTPR(ティー・ピー・アール:体温、心拍数、呼吸 […] -
巨大食道症
食道とは、口から胃まで食物を運ぶ器官です。この食道が何らかの原因で拡張することを、食道拡張(しょくどうかくちょう)とか巨大食道症(きょだいしょくどうしょう)と言います。主に犬に多く、猫で見られることは比較的少ないとされています。 -
横隔膜ヘルニア
ヘルニアとは、もともと穴のあいていないところが裂け、その穴から別の臓器や組織ががはみ出す病気です。場所などによりいくつかの種類があり、横隔膜(おうかくまく)ヘルニアとは、横隔膜(胸部と腹部を隔てている筋肉の膜)が先天的(生まれつき)あるいは交通事故(特にネコに多い)や落下など後天的な原因で破れ、腹部の臓器が裂けた横隔膜の穴から胸の内部に入りこんでしまう状態をいいます。裂けた穴の大きさや入り込む臓器などによって呼吸器症状や消化器症状を呈します。 -
SFTS:重症熱性血小板減少症候群
SFTS:重症熱性血小板減少症候群とは2011年に中国の研究者らによって発表された新しいウイルスによるダニにより媒介される感染症です。2013年1月に国内で海外渡航歴のない人がSFTSに感染していたことが初めて報告されました。このウイルスは保有するダニに咬まれることにより人に感染します。また、犬や猫も同様にウイルスを持つダニ(フタトゲチマダニなど)に咬まれることで感染し、それらの動物と濃厚に接触(血液た唾液など)することで人が感染します。感染した人と濃厚に接触すると、人から人へも感染すると言われています。犬から感染したとされる症例[3]や、2016年に猫から感染したと思われる人の死亡症例も報告されています。また特に猫において西日本での感染が多く報告されていきています。 -
気管支炎
気管(きかん)とは、動物の喉から肺に通じる、呼吸の際に空気が流れる管のことです。その気管から肺にはいる、木の枝のように分かれた部分は気管支(きかんし)と呼ばれ、気管よりもさらに細い管で、肺のガス交換を行う組織である肺胞に開口しています。気管支炎はこの気管支部分に炎症が起こる病気です。特に子犬や子猫に多く、鼻炎や咽頭炎に併発することも多く、発咳などの症状が見られます。ウィルス感染が原因であることが多く、特に空気の乾燥した冬場に流行が見られます。 -
膀胱炎(犬編)
膀胱炎は犬に多い病気で、膀胱に炎症が起こる病状。原因は細菌感染や結晶・結石があり、尿検査や超音波で診断。治療には抗生剤が使われ、結晶や結石の治療も行われる。予防には食事の管理と水分摂取を重視し、再発を防ぐために指示通りに薬を与える必要がある。症状が悪化する場合は腎臓に波及することもあるため、早期の診療が重要。