SFTS:重症熱性血小板減少症候群

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SFTS:重症熱性血小板減少症候群とは?

 SFTS:重症熱性血小板減少症候群とは2011年に中国の研究者らによって発表された新しいウイルスによるダニにより媒介される感染症です。2013年1月に国内で海外渡航歴のない人がSFTSに感染していたことが初めて報告されました。このウイルスは保有するダニに咬まれることにより人に感染します。また、犬や猫も同様にウイルスを持つダニ(フタトゲチマダニなど)に咬まれることで感染し、それらの動物と濃厚に接触(血液た唾液など)することで人が感染します。感染した人と濃厚に接触すると、人から人へも感染すると言われています。犬から感染したとされる症例[3]や、2016年に猫から感染したと思われる人の死亡症例も報告されています。また特に猫において西日本での感染が多く報告されていきていて、特に長崎県は感染猫の多い地域の一つです[14]。2022年9月までに, ネコ560症例とイヌ36症例がSFTSと確定診断されています[17]

人の症例は長崎県下ほぼ全域に見られ、五島や対馬でも見られています。普通に考えれば壱岐だけ例外ということはないでしょうから、近い将来出てもおかしくない病気です。

SFTS:重症熱性血小板減少症候群の原因

 原因はSFTSウイルスの感染です。一般にダニ(フタトゲチマダニなど)により媒介されます。このウイルス自体は酸や熱に弱く、消毒用アルコール(70%)次亜塩素酸ナトリウム液(0.5%)などの一般的な消毒剤で消毒が可能です。

SFTS:重症熱性血小板減少症候群の症状

 犬では無症状(不顕性感染)のことが多いとされています。猫では、元気がない(元気消失)、食欲不振発熱嘔吐下痢などの消化器症状、黄疸などが見られますが、この病気に特徴的な症状というわけではありません。急性疾患で、発症から数日以内に重症化して、死亡する確率も高い(致死率は約6割)怖い病気です。

特に猫では症状の進行が早く、急激に悪化し、発症から7日以内に死亡するケースが多いとされています。

SFTS:重症熱性血小板減少症候群の診断/検査

 一般の動物病院では症状などから疑い、血液検査血液化学検査を行います。そこで、白血球や血小板の減少、黄疸、肝機能の低下、SAA、CPKの上昇などがあると、大学などの研究機関、検査機関に依頼して特殊な検査(遺伝子検査、抗体検査など)を行い診断します。

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この記事を書いた人

福山達也