低血糖症:Hypoglycemia

低血糖症の治療

 低血糖症の治療には、意識がしっかりある場合はブドウ糖を口から投与します。意識などがなく、口からの投与が難しい場合は、ブドウ糖を直接血管へ静脈内注射します。
 その他、血糖値を上げる作用のあるステロイド剤を注射したり、低血糖症を引き起こす原因となる疾患が他にある場合はその治療もあわせて行います。

低血糖症の予防

 特に子犬、子猫は哺乳や食餌の間隔が長くなると低血糖症を発症しやすいため、哺乳や食餌の回数を増やすなど、時間と回数に注意します。子犬、子猫が食餌をしない場合は放置せず、早めに当院にご相談ください。特に飼育開始5~10日あたりに低血糖症が多く起こっています。我々はニューオーナーシンドローム(新しい飼主症候群)と呼んでいます。これは新しい飼育環境に犬猫がストレスを感じていたり、初めての飼育でオーナー側に知識が少なかったりして起こるためです。犬猫の飼育を始めたら、もしくは始める前に正しい飼育知識を学習しましょう。
参考:
 ○犬を飼い始めたら
 ○猫を飼い始めたら 
 成犬、成猫の場合は、他の病気が低血糖症の原因となることが多いため、定期的に健診を受けることなどが予防や早期発見に役立つでしょう。

低血糖症の看護/その他

 低血糖症の症状が起きたときは、とりあえず砂糖水などを舌にたらして舐めさせることで症状が進行することなく回復することがあります。痙攣発作や昏睡などを起こし、意識がはっきりしていない場合や口から砂糖水を与えるのが困難な場合は、砂糖水を一挙に口に流し込まないで、口の粘膜に少しずつ垂らすようにし、獣医師の診察を受けましょう。
 食餌がとれるようになったら、炭水化物多めの食餌やブドウ糖を一日に何回かに分けて口から与え、再発を防止しましょう。
 低血糖は命に関わる緊急事態です。そのため、緊急処置が必要になり、費用もそれなりにかかります。ですから、特に子犬など低血糖を起こさないように日頃からきちんと観察して、異変を感じたら早め早めに対処することが必要です。
 糖尿病[]の治療でインシュリンを投与している場合、注射に失敗したからと言って再度注射しないようにしましょう。

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参考文献・資料等
  1. 伴侶動物治療指針 Vol8;128-136:低血糖の鑑別と治療
  2. Hypoglycemia in dogs: Causes, management, and diagnosis

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<1>急性副腎機能低下症の治療
<2>犬のキシリトール中毒
<3>健康なビーグル犬を用いた新しい皮下の持続的グルコースモニタリングシステムを評価する予備研究
<4>猫の糖尿病の管理 
<5>インスリン依存性糖尿病が既存しインスリノーマを発症した犬の1例
<6>一般的な腫瘍随伴症候群
<7>犬のパン生地中毒
<8>犬の糖質コルチコイド欠乏性副腎皮質機能低下症:18症例(1986-1995) 
<9>犬の非定型アジソン病:14症例における回顧的調査
<10>猫の副腎皮質機能亢進症におけるミト-タン療法
<11>基礎疾患として高ソマトトロピン血症をもつ糖尿病罹患猫に対するパシレオチド長時間作用型徐放剤治療
<12>膵島細胞症に罹患した犬における膵部分切除術後の高インスリン血症性低血糖症の消散
<13>猫における自然発生性副腎皮質機能亢進症の治療に対するトリロスタン治療:15症例(2004-2012)
<14>インスリノーマ罹患犬19頭におけるストレプトゾトシン隔週投与に関する前向き評価 
<15>犬のインスリン様増殖因子II型分泌膵島細胞腫瘍  
<16>犬のキシリトール中毒
<17>キシリトール摂取に関連して急性肝不全および血液凝固障害を起こした犬8例
<18>犬の熱中症:54症例(1999-2004)の回顧的研究と死亡に対する危険因子の分析
<19>プラナー・シンチグラフィーによるIn vivoソマトスタチンレセプター画像検査法により容易になる犬のインスリノーマ診断
<20>バベシア症の犬におけるグルコース、乳酸塩、及びピルビン酸塩の濃度
<21>犬バベシア症の血液乳酸値、血糖値、およびヘマトクリット値の予後診断的価値
<22>悪性犬バベシア症における低血糖症の発症率と危険因子
<23>ジメルカプロール 
<24>インスリノーマの猫における低血糖症と不可逆的な神経学的合併症 
<25>犬の熱射病:臨床症状、治療、予後および予防 
<26>猫における悪性腫瘍の内分泌的発現 

[WR211,VQ2111:低血糖]

■VMN Live

この記事を書いた人

福山達也