嘔吐:Vomiting

嘔吐の治療

 治療は原因により様々です。軽度な嘔吐は、制吐剤(吐き止薬:マロピタント、オンダンセトロンなど)や輸液療法(点滴)等で治ってしまうこともよくありますが、単純に吐くのを吐き止薬で抑えれば終わりということではなく、根本的な原因を治療しないと止まらないこともあります。原因が何であれ、吐くことによって体の中の水分やミネラルが体外に失われて危険な状態になることがあります。また、嘔吐は体力もかなり消耗するので、原因を追及すること以外にも緊急の処置が必要な場合がよくあります。



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 嘔吐が始まって1〜3日で、回数も少なく、元気があり、他に気になる症状がなければ制吐剤などの対症療法で様子を見ます。それで収まれば(通常2,3日で収まります)一過性で問題ありませんが、元気があっても回数が多い。ましてや元気がない(元気消失)などの場合は原因を探るために詳しい検査が必要です。もちろん対症療法中に嘔吐の回数が増える、元気がなくなってくる、下痢など新たな別の症状も現れるようなら、様子を見続けないで詳しい検査などが必要ですからご連絡ください。
 吐血(血を吐く)または下血、頻繁な嘔吐(1日に8〜10回)あるいは、同時徴候(食欲不振、倦怠感、発熱、明らかな腹痛、貧血黄疸の粘膜など)の場合は、対症療法では解決しない場合がほとんどで、様子をみていると命に関わることもあります。根本的な原因を特定し、治療を行うには少なくとも、血液検査血液化学検査尿検査レントゲン検査超音波検査など詳しい検査が必要です。
▶なお、当院では嘔吐の治療に、許可を得て海外から輸入した薬剤(日本未発売)を用いることがありますので、ご了承下さい。

嘔吐の予防

 犬猫ともに予防注射で防げる病気は定期的な混合ワクチン注射で予防[]することは大前提です。

嘔吐を完全に予防することはなかなか難しかもしれませんが、まず、「犬や猫はよく吐く」という昔の迷信は捨てて吐いているようならよく愛犬や愛猫を観察し、重大な問題、あるいは長く続く問題があれば、早めに当院にご相談下さい。動物病院に行くかどうかの目安は、まず第一に、急性嘔吐(急で激しい嘔吐)かどうかということです。1日に何回も嘔吐していれば、体から水分やミネラルなどが急速に失われます。それだけで病院に行く必要性があります。

 次に、全身症状があるかということです。元気消失(元気がない)と食欲不振でぐったりした様子で吐いている場合には、様々な病気が疑われるます。それまで元気で急に吐きだした場合は、異物を飲み込んだり、中毒の可能性も考えなくてはなりません。その他、吐いたものの中に多くの血が混じっている場合はすぐに当院にご連絡下さい。

■こんな嘔吐はすぐに当院にご相談下さい。

01 激しく吐いている。
02 何回も吐いている。
03 元気も食欲もない。
04 吐く動作だけで、何も出ないが、頻繁で元気もない。
05 吐いたものに血が多く混じっている。
06 脱水して皮膚に張りがなく、目がくぼんでいる。
07 嘔吐の回数は少ないが、数日以上続いている。
08 吐いていて、徐々に体重が減ってきた。
09 吐いたものに虫がいる。
10 中毒の可能性がある。

嘔吐の看護/その他

 急いで食べて嘔吐や吐出したり、あるいは猫では毛玉を吐いたりすることがあります。このため吐くのをみることは比較的多く、「また吐いてる」程度にしか思わないこともよくありますが、毛玉を頻繁に吐くようなら異常なことですから、そのような場合には早めに当院を受診して下さい。また食べた後よく吐く、とくに毎日吐くなどという場合はやはり診察が必要です。食餌は、嘔吐が止まった後も体が正常な状態に戻るまでのしばらくの間は1回の給餌量を少なくし、頻回(1日3~6回)に分けて与えるほうがいいでしょう。また嘔吐が十分制御されるまでは動物病院で処方される消化率の高い処方食フードを与えることは回復の助けになります。

 嘔吐の場合、軽度の脱水で自分でお水が飲める場合は、動物用の経口補液剤(電解質サポート)を処方致しますので、水ではなくそちらを使ってください。これは病気の時や熱中症予防などにも使えますので、常備されておくといいと思います。

【使用方法】
・電解質サポート1袋(29g)を、ぬるま湯(約50℃)約500mlに溶かし、約530mlの電解質補助液として使用します。
・冷蔵庫で約24時間保存可能です。

■吐いている時に動物病院で聞かれそうな問診項目
予めこれらをメモしておくと診察の助けになります。
□いつから吐いているか? 主にいつ吐くか?(食事前・食事直後・早朝・無関係など)
□1日何回吐くか?
□ずっと吐いてる? 時々吐く? 最後に吐いたのは何時?
□どんなものを吐く?(未消化・消化・血が交じる・コーヒー色など)
□いつもの食餌は何?(市販[可能ならメーカ名や商品名]のドライフード・ウエットフード・手作り食)
□飼育環境は?(屋外・屋内・屋内外など) 散歩ルートで毒物や薬物に接触する? 拾い食いは?
□予防注射や駆虫(虫下し)はきちんと定期的にしてる?
□今まで大きな病気をしたことは?

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参考文献・資料等
  1. 小動物臨床における診断推論.37-51
  2. 伴侶動物臨床指針 Vol.4; 207-217:制吐薬の使い方
  3. 伴侶動物臨床指針 Vol.9; 386-400:犬の嘔吐時の腹部超音波スクリーニング検査のコツ
  4. 伴侶動物医療のための鑑別診断; 19-23:嘔吐
  5. GI Intervention: Approach to Diagnosis & Therapy of the Vomiting Patient
  6. Maropitant Use in Cats
  7. セレニアによる制吐の実際


<1>犬の嘔吐: 再検討
<2>嘔吐

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この記事を書いた人

福山達也